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コラム

日本の里山資源「実生ゆず」と、エコ家事を楽しく快適に

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8月に発売になったハニーマザーの「ボタニカルマルチクリーナー」、もうお試しになりましたか?私も含め、このアイテムのおかげで毎日のキッチン掃除が苦にならなくなった!との声が後を絶たない注目アイテムです。できるだけエコ家事やソーシャルグッドなお買いものを心がけたいけれど、汚れ落ちや手軽さも譲れない……という私たちの本音に、ピタッと寄り添ってくれるクリーナーの魅力、探ってみました。

植物由来100%、ようやく出会えたエコ家事の決定版

毎日使うキッチンは、意外なところまで油汚れが飛んでいるものだから、その日の終わりにきれいにリセットしたいですよね。その一方で、まめに掃除したい場所だからこそ、クリーナーの安全性にもこだわりたい。というわけで、これまで重曹やセスキ炭酸ソーダなども試してきた私ですが、それらは使い方にちょっとコツや注意がいるのも事実。そんな中で、ようやく出会えたエコ家事の強力助っ人が、ハニーマザーのボタニカルマルチクリーナーです。

何が魅力って、これ1本でコンロ周りからキッチンの壁面パネル、木製の吊り戸棚、フローリングの床まで、ぜーんぶきれいにできてしまうところ。シュッとスプレーして、固く絞ったダスターで拭き取るだけで楽にきれいになります。なのに合成界面活性剤は含まず、100%天然由来成分でできているから、環境にも安心です。

木製家具やフローリングに使えば、ツヤ出しコーティングの効果もあって一石二鳥。キッチンだけでなく浴室やトイレのお掃除に、はたまた頻繁に洗えないカーテンやソファのファブリックミストに、とまさにマルチな活躍ぶりです。

使って応援!次世代に語り継ぎたい里山資源「実生(みしょう)ゆず」

このクリーナーの汚れ落ちの秘密は、松から抽出したトール油に含まれる脂肪酸カリウム(石鹸成分)と、「実生(みしょう)ゆず」の果皮水。この植物のパワーが油を浮かせて分解し、除菌まで叶えてくれます。赤ちゃんやペットのいる家庭でも安心して使えるのはそのため。

実生ゆずと聞いてもぴんと来ない方も多いかもしれませんので、少しご説明しましょう。一般的に出回っているゆずのほとんどが、カラタチを台木にした接木で栽培されているのに対し、実生ゆずはひと粒のタネから発芽し、時間をかけて成長したのちに結実します。つまり他品種と交配されていない原種の個性を語り継ぐ存在なんです。

果樹の寿命を比べてみると、接木のゆず果樹が20〜30年なのに対し、実生ゆず果樹は100〜200年と長寿。その生命力の秘密は、地中深くに伸びた根。古い地層のミネラルを吸い上げてたくましく成長した木は、病気や害虫にも強く農薬を必要としません。地中深くに根を張った実生ゆずの木々は、山を地滑りから守る大切な役割を果たしてもいます。そして実生ゆずの果実は、一般的なゆずに比べて大型で、香りも一段とパワフルです。

そんな魅力たっぷりの実生ゆずですが、市場に出回っていないのにはわけがあります。まず接木のゆずが約3年で収穫できるようになるのに対し、実生ゆずは結実までに18年もかかります。さらに実生ゆずの木は、農業機械が入らない里山の奥深くに生育し、大型で棘が多いため、手入れも収穫も簡単ではありません。生産効率や経済性を考えると、割に合わないことが多いため、今ではその木々の守り手も減少の一途をたどっているのが現実です。

でもそんな中で、「実生ゆずをこのまま忘れられた存在にしてはいけない」と立ち上がったのが、大阪箕面の起業家・岡山栄子さん。ハニーマザーの「マルチボタニカルクリーナー」も、岡山さんのご協力のもと完成しました。

実生ゆずの日本三大産地、大阪・箕面で始まった循環型ものづくり

岡山さんはもともと元々リフレクソロジーのセラピストとして人気サロン「ゆらぎスタイル」を経営していましたが、キャリアを積み重ねるほどに「日本の風土に根ざした植物療法を確立したい」という思いが強まっていたそう。

岡山さん
「当時は一般的なリラクゼーションサロンではできないケアをめざし、植物療法と整体を融合させたケアを行っていましたが、一人でも多くの方に健康になっていただくためには、私のサロンに来られない方にも実践してもらえるような方法が必要ですよね。それに植物療法に使う精油が、イギリスやフランスなどの海外製であることも気になっていました」

そんな岡山さんが地元・箕面の里山資源・実生ゆずのことを知ったのは2009年。実は箕面は、実生ゆずの日本三大産地のひとつだったのです。足元に眠っていた宝ものに気づいた岡山さんは、自らゆずの里山に通い、生産者との信頼関係を地道に構築しながら、実生ゆず活用の仕組みづくりについて模索してゆきます。

岡山さんがこだわるのは、「捨てる」を「活かす」に変える循環型のものづくり。岡山さんが関わり始めた2009年当時は、商品になりやすい果汁を搾った後に残る果皮やワタ、タネなどは廃棄されていました。しかし無農薬で育った実生ゆずは、まさに捨てるところがない恵みの宝庫。そのことに気づいた岡山さんは、実生ゆずの廃棄物から天然精油、芳香蒸留水や種子エキスの抽出を行う工房を2011年に立ち上げました(2019年に建物老朽化により閉鎖)。その研究開発から生まれたラインナップは、スキン&ボディケアグッズから健康食品、住まいの衛生関連商品にまで広がっています。

また、毎年秋に行われるゆずの収穫作業には、障がいを持つ人や引きこもりの若者も参加。収穫したゆずの分別・加工は福祉作業所と連携し、障がいを持つ人々の就労支援にもつなげています。

まさに温故知新!海外からも注目される実生ゆずの魅力とともに

原種の個性と魅力をそのまま守り続ける実生ゆずは、すでに海外からも「Wild Yuzu(野生ゆず)」として注目を集め始めているそうです。というのも、ゆずそのものは中国原産ですが、今では実生ゆずは日本にしか残っていないと見られているから。そう思うと、絶やさず次世代に語り継いでいきたいですよね。

岡山さん
「すでに奈良時代の文献にはゆずに関する記述が見つかっていますから、今から1200年以上前に大陸から渡来して、日本に根づいてきたということになります。ゆずは当時から薬用植物として重宝されていて、平安時代に記された日本最古の医学書「医心方(いしんぼう)」には、ゆずが消化吸収促進や、切り傷の治癒、熱や咳や嘔吐の鎮静、膀胱炎や下痢の症状改善に役立つと書かれているんですよ。今では、接木ゆずにはない実生ゆずだけの魅力に関して、次々と研究解明が進んでいるところです」

ひとりでも多くの人に実生ゆずのことを知ってもらい、日本の里山の生態系を考えるきっかけにしてほしいと語る岡山さん。その情熱が生み出したマルチクリーナーに、またさらに愛着が深まりそうです。

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この記事を書いた人

松本 幸

松本 幸

神戸育ち大阪在住のフリーランスライター。著書に、2002-2006年のパリ在住経験から企画編集執筆した「パリ発キッチン物語おしゃべりな台所」がある。江戸落語と文楽が好き。

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