有機農産物を選ぶということ | ハニーマザー
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コラム

有機農産物を選ぶということ

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今年の新米でできました!田田田堂にとっては欠かせないメイン原材料の有機米粉。

写真の有機JASマークは、この製品は化学農薬などを使わないで栽培されている商品ですよ。という意味。

認証機関の厳しいチェックを通ったものだけが、この格付けをもらえますが、日々の接客を通じまだまだ日本の有機JASマークは認知されていないなぁ・・・・と感じます。

※有機=農薬を使わない農法=オーガニック

世界のオーガニックブームは一人の女性から

人間が農業という営みを始めたころ、世の中全ての農産物は有機栽培。

時代を得て化学技術の発達と共に、農業生産の効率化が進み、薬剤や肥料が開発され、農産物の収穫量は飛躍的に伸びましたが、その代償として自然環境への負荷が一気に進みました。

1962年、近代農業や化学物質が与える環境汚染への憂慮を題材にした、『沈黙の春』という書籍がアメリカ人女性、レイチェルカールソンにより執筆され環境問題への意識が世界で高まりました。

本書は農薬や化学物質を使用することにより、野生生物への影響や、あらゆる自然生態系への影響、人間の体内濃縮などについて書かれており、これら薬剤に規制がなく使い続ければ、「春になっても小鳥のさえずりさえ聞くことができない世界になるだろう」という意味を込めたタイトルになっています。

これを機にアメリカではオーガニック市場が拡大し、法令整備として1970年代に欧米各国が有機の基準と、第三者による検査認証制度を開始していきます。

このように世界にオーガニックムーブメントが訪れたのは、自分たちが健康でヘルシーになりたいという願望からではなく、地球の未来環境への危惧からはじまったものだったのです。

日本の有機農産物への関心も、はじまりは女性から

日本での有機農業への関心の高まりは、1975年に出版された有吉佐和子著書の『複合汚染』が始まりとされおり欧米と同じく書籍から広まりました。

アメリカでの問題を警鐘したのも女性でしたが、日本での環境問題を警鐘したのも同じく女性。

当時男性が遮二無二に働く時代にあって、時代の本質を見極めようとしていた女性が多かったのかもしれません。

この書籍が出版される数年前の1971年に日本では「日本有機農業研究会」という団体が発足し、有機農業の生産者と消費者の交流を促す動きがでてきはじめたのもこの頃です。

ただし当時は有機農業に対するガイドラインはあったものの、強制力のある制度ではなく、有機の規格で生産されているか否かは、生産者の善意に委ねるしかありません。

「あの畑は農薬を使ってないから、オーガニック野菜と称して販売してもOK」と生産者や販売者が言えば、ラベルを自由に作成し、それを市場にそのまま流通させることができていた時代。

不正表示への罰則もなかったため、市場は混乱に陥っていた時期でもありました。

国際基準に合わせるため制度化

この頃オーガニック市場の高まりから、世界各国でも表示や表現方法に混乱が起こっていました。

そこで1999年 国際食品規格(CODEX)が有機食品の国際規格を発表するも・・・

当時日本には明確な制度が存在しなかったため、国際基準では日本の有機商品が認められない可能性がでてきました。

日本の農産物品質が世界より劣って評価されることがあってはならない!と、これを機に急遽日本でも有機食品基準が制度として明確化することになってゆきます。

手前は農薬不使用の田田田堂のたんぼ。うき草いっぱいで雑草が生えない。

有機農産物の主たる基準としては

種又は植付け前2年以上(多年生植物は3年)の間、栽培に農薬や化学肥料を使わずに生産された農産物

というものが最も大きなルールとなっており、有機農産物やオーガニックという言葉に対して、多く方の認識はこれではないかと思います。

有機農産物は本当に環境に良いのか?

この話になると必ず出てくるのは慣行栽培(通常の農産物)との比較。

有機農法は慣行栽培で使われるような薬剤は使えないため、土壌汚染や水質汚染がなく直接的な要因としては環境には良い農法です。

有機栽培の田んぼには小さな生き物がたくさん

一方で有機栽培は化学肥料などが使えないため、必然的に収穫量が少なくなり慣行栽培に比べ効率が悪い農法になります。

両者を比べた時に、同じ面積で収量が少ない有機農産物が、結果的に環境に負荷をかけているという論争が世界では起きています。(CO2の排出量など)

しかし汚染や化学物質が環境に長年及ぼす影響を考えれば、有機農産物の方が環境にとって良いと考えるのは当然ではないでしょうか?

ただ一般的な慣行栽培農法が悪であるか?というと決してそうではないと思います。

許容される範囲で薬を使い、効率的に生産物の収量を向上させ、市場に安くお届けし多くの人のお腹を満たす。

世界の多くの人達が飢えずに暮らしていくためには、なくてはならない方法かもしれません。

有機農産物を選ぶ理由

多くの人が有機農産物を購入する一番の理由は「健康に良く安心」ということではないでしょうか?

また有機生産者の多くも、「消費者から安心感があり市場価値が高い」という理由で、コスト高であっても懸命に生産されている方が多いのも事実です。

私達も同じく「消費者から安心感があり市場価値が高い」から扱うという側面がないと言えばそんなことはありません。

しかし有機農産物を購入することの最も大切なことは、地球環境へ配慮をしている生産者から、モノを買いその活動に参加しているということではないかと考えています。

今年の田田田堂の稲刈りは天日干し体験も

田田田堂が有機農産物をメイン原料にしている最大の理由は、現在の事業が今後成長した際でも、環境に過度な負荷をかけるのではなく、この事業が伸びることで環境保存を考えながら進んでいる生産者さんとの輪を広げられるからです。

もちろん有機農法のモノだけを選ぶということは難しいですが、今後も田田田堂が扱う多くの原材料は有機栽培や減農薬生産を通じて、未来環境を考えることができる人たちから購入し、皆様にお届けしたいと考えています。

来年は田田田堂の第一号店オープンを考えています。

これからもお客様と様々なことを考え共有できる私達でありたいと願っています。

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この記事を書いた人

西田智祐

西田智祐

株式会社ハニーマザー代表。東京のデザインホテルのバーで、バーテンダーとして修業後、独立を目指し神戸へ帰郷するも、創業者である母親の病をきっかけにハニーマザーに入社。その後ニュージーランドで語学・文化・蜂蜜について学ぶ。人と接することが好きで、お酒を交えての談笑は至福の時間(大人数は苦手)。休日は家族と過ごしたいが、ティーンの娘に疎まれることもしばしば。

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